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遺憾ながら来年3月を以て博物館は休館

2010年12月28日

2010年も後4日となった。

1975年、30歳のとき「人間到る処に青山在り」と若気のいたりで
アマゾンに移住して、「ムシ取り」と「魚釣り」で35年過ぎた。
「光陰矢の如し」とはよく云ったもので還暦から5年経ってしまった。

1988年6月に幸いにもブラジル移民80周年を機に「アマゾン自然科学
博物館」をオープンさせることが出来た。

2010年40メートルの観察タワーを森に中に建て観察を始めたまでは
良かったが、当地の一部研究者の嫉みを受け同年8月16日森林開発保
護法違反で告発されてしまった。

今、考えると脇が甘かったのである。

長い裁判が始まり、2008年5月に何とか勝ったが、同年9月に再告発され
てしまった。
本年5月にそれにも何とか勝って6ヶ月の控訴期間もすぎて11月に長い戦争
がようやく終わった。

しかし、タワーは博物館の移動ラボであるのですぐに使う訳にはいかないので
ある。
国、州、市、それぞれの機関の許可が必要である。

戦いすんで 日が暮れてみれば、残ったのは借金の山のみである。

さてブラジル経済は一次産品の担保があるため、リーマンショック以降も
行き場を失った国際ファンドが流入して不動産投機にまで流れている。

はっきり云ってバブルである。

ブラジル中央銀行はインフレを防ぐため、ここ数年通貨レアルの切り上げで
対応しているが、そのとばっちりが我が小さな博物館を直撃しているのである。

本年4月に入館料を12レアルから14レアルに値上げしたが赤字である。

来年も継続して博物館を運営するためには、入館料を20レアルにしないと
やって行けないのであるが、10米ドルを大幅の超えるため不可能である。

現在のレートは1米ドル=1,70レアル(商業レート)、旅行レートは1,60レアル
である。
理想は8米ドル前後であるが、これで計算すると団体入館料は12,50 米ドルに
なってしまうのである。

実体経済に沿って1米ドル2,20〜2,40レアルになれば、入館料問題は解決する
のであるが当分は見込みがないのである。


経済のグローバリズムによって自由経済園の石油の価格は世界中ほぼ同じであるが、
ブラジルの場合は火力発電のウエイトが高いため電気料金もこれに連動している。

家庭において食費の占める割合をエンゲル係数というが、我が博物館においては
電気料金がそれに当たる。
昨年は電気料金が入館料の50パーセントを超えた。

今年は値上げしたので44パーセントであるが、このまま行くと来年はまた50パーセント
を超える可能性が高い。
黒字経営には電気料金を30パーセント前後に押さえたいが、それには入館料を20レアルに
するか入館者の倍増を期待するしかない。

(余談ながら、我々が育った昭和35年頃までは日本の多くの家庭がエンゲル係数50パーセント
 以上で親たちは苦労した。
 しかし、現在の子育て世代は20パーセントくらいである。これでは正しい食育とは云えず
 健康な生活は送れず、日本の農業も成り立たない。)

ここ5年、入館者は半減しているのである。
特に日本人観光客の激減がひどく2000年前後に年間2000人を超えていたが
昨年も今年も600人足らずである。
(その要因は判っているが、くどくなるのでここでは記さない。)

ちなみに開館以来の入館者は11月末現在で大人234,532人、半額入館者は48,032人
である。
(半額入館者とは6歳以上の子供、学生、60歳以上である。)

裁判中は意地でも博物館を閉める訳にはいかなかったのであるが、もうこれ以上、
日本のサラリーマンの年収に近い赤字を垂れ流す訳には行かないのである。

そんな訳で2011年3月末を持って誠に遺憾ながら博物館を休館とする。
休館にもかなりのエネルギーが必要なのである。

長い間のご支援に深謝します。

階前の梧葉は既に秋声である。
昭和の少年の時代は終わりつつある。
入館者の45パーセントを占める外国人旅行者もまたしかりである。

    閑古鳥の啼く博物館にて
          2010年12月27日  はしもと記
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